「呪術廻戦」のコミック(写真:共同通信社)

「呪術廻戦(じゅじゅつかいせん)」が世界を席巻しています。漫画家の芥見下々(あくたみ・げげ)氏による同作は、今年1月に単行本の累計発行部数9000万部を突破。漫画原作のテレビアニメは「世界で最も需要の高いテレビアニメ番組」として、「ギネス世界記録2025」に登録されることも決まりました。民間企業とのコラボレーションも絶え間なく続くなど、経済効果は数千億円ともされる「呪術廻戦」を、専門記者グループのフロントラインプレスがやさしく解説します(この記事は単行本最新刊までの内容を含みます)。

フロントラインプレス

「呪い」を巡る物語

 呪術廻戦は2018年3月、集英社の「週刊少年ジャンプ」で連載が始まりました。2024年5月時点で、コミックスは26巻まで発売されています。タイトルの通り、「呪い」がテーマの物語です。

 作品の舞台は「呪い」のある世界。「呪い」は憎悪や嫉妬、畏怖といった人間の負の感情から生まれるもので、いずれ「呪霊」と呼ばれる化け物になって人間に危害を与えます。作中では、年間1万人を超える怪死者や行方不明者のほとんどが呪霊による被害だとする描写もありました。

 そこで人知れず一般人を守っているのが「呪術師」たち。毒をもって毒を制するように、彼ら呪術師もまた、呪いの力(呪力)で「呪術」を行使して呪霊を祓う存在です。

 主人公の虎杖悠仁(いたどり・ゆうじ)は平凡な高校生ですが、ある出来事がきっかけで、呪いや呪術師の存在を知ることになります。亡き祖父から「オマエは強いから人を助けろ」「大勢に囲まれて死ね」との言葉を遺されていた虎杖は、祖父の“呪いの言葉”を胸に「後悔しない生き様」や「正しい死」を探して自らも「呪いを廻(めぐ)る」戦いの世界に足を踏み入れていく……というストーリーです。