自己評価の低さは「頂き女子」も「ナンパ師」も同じ
橘:私も今回、はじめて読みましたが、これはとても面白いですね。
2000年代のはじめにアメリカでPUA(ピックアップ・アーティスト)が大ブームになり、リアリティ番組までつくられました。魅力的な女の子をピックアップする“ナンパ術“のことで、もともとは恋愛経験の少ない(非モテの)男の子のためのマニュアルでしたが、次第に女性をセックスの対象として評価し、何点の女と何人寝たかを競うようになりました。
「頂き女子りりちゃん」を自称する25歳の女性がつくったマニュアルは、ナンパ師のためのマニュアルととてもよく似ています。
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ナンパ師の目的はセックスですから、女性と長くつき合ったり、一緒に暮らしたりする気ははなからありません。「頂き女子」の目的はお金で、“おぢ”はたんなる金づるで、恋愛感情などはまったくありません。
しかしより興味深いのは、どちらも自己評価が低いことです。「頂き女子」マニュアルの冒頭には、お金を稼げば夢がかなうし、「これだけ自分が稼げるんだ!」と自分の価値に気づいて、自分に自信がもてるようになると書いてあります。
ナンパ師も同じで、「こんなに自分はモテるんだ!」という証明(セックスした女性の数)でしか自尊心を保つことができません。――詳しくはPUAのバイブルとなったニール・ストラウスの『ザ・ゲーム 退屈な人生を変える究極のナンパバイブル』(田内志文訳/パンローリング)と、その後の自分探しの遍歴を描いた『ザ・ゲーム 4イヤーズ』(永井二菜訳/パンローリング)を読んでください。
これも怒られるかもしれませんが、男でも女でも、家族・恋人・友人・仕事に恵まれたリア充なら、ナンパや恋愛詐欺で自分の価値を証明する必要はないですよね。
──頂き女子に騙される「おぢ」については、どのように見ていますか。