「梅雨」があるのは東アジアだけ

 梅雨は日本を含む東アジアにしかない現象だ。南から北上してくる温かく湿った空気の太平洋高気圧と、北にある冷たい空気のオホーツク海高気圧がぶつかり、湿った空気が冷やされて雨を降らせる東西に長く延びる境界ができる。

 これが梅雨前線と呼ばれ1カ月ほど停滞し、太平洋高気圧が北へ北へと勢力を増すと梅雨前線が押し上げられ、日本列島で南から北へ徐々に梅雨が明けていく。北海道には梅雨前線に伴う梅雨はない。

出所:気象庁ホームページ

 日本だけではなく中国や韓国にも影響を及ぼす。中国では「梅雨(メイユー)」、韓国では「長霖(チャンマ)」と呼ばれ、いずれも6~7月の雨の多い時期のことを指している。

 他方、世界では同じように長期間にわたって雨を降らせる季節がある地域もある。一般的に、1年で最も雨が多く降る時期は「雨季(雨期)」と呼ばれ、広い意味では梅雨も雨季の一種といえる。

 世界の多くの国では気温の変化によって季節が定義されているが、一年を通じて気温の変化が少ない赤道付近の熱帯諸国では雨の多さによって季節が定義され、それが雨季・乾季にあたる。

 日本は変化に富む美しい四季がある上に、雨が多い梅雨まである。梅雨と聞くとつい嫌なイメージを持ってしまいがちだが、カラ梅雨になれば稲が育たず美味い米は作れないし水不足になってしまう。恵みの雨と思って、からりと晴れる夏本番までしばらくの辛抱だ。