(柳原 三佳・ノンフィクション作家)

「勝手に婚姻届」が発覚

勝手に婚姻届出され…半年経っても婚姻関係 逮捕の女を直撃「7年前からファン」 (テレ朝news:2024年4月11日)

 つい先日、報じられたこのニュースに驚いた方も多いのではないでしょうか。SNSである男性のファンになったストーカー女性が、男性に無断で勝手に婚姻届を作成し、市役所に提出。それが受理され、いつの間にか“夫婦”になっていたというのです。

 偽造婚姻届を千葉県富里市役所に提出した女は、有印私文書偽造などの疑いで2024年3月27日に逮捕、4月17日に起訴されました。

 しかし、上記記事によれば、

『届け出が偽造されたとしても、被害者は市役所で、男性が被害届を出すことはできない』

『家庭裁判所で婚姻無効になるまで半年はかかる。だいたい1年は覚悟してと、弁護士に言われた』

 とのこと。

 つまり、たとえ婚姻届けが偽造されたものであっても、被害者はあくまでもニセの書類を受理させられた役所で、当事者が訴えても簡単に無効にはできないというのです。

 実は、こうした出来事は、婚姻届だけでなく、離婚届においてもたびたび起こっています。

 4月23日、妻の同意なく無断で離婚届を役所に提出した男に対する初公判が、東京地裁(内山裕史裁判官)で開かれました。いったいなぜ、こんなことが起こるのか……。この日、法廷で見たやり取りをレポートしたいと思います。