「麻生副総裁の訪米は、一議員として行われるものと承知している」

「政府として関与していない個人の立場としての活動ということであり、これについてのコメントは差し控えたい。受け止めについても、お答えする立場にはない」

杓子定規な日本政府の反応

 林芳正官房長官も4月24日午前の定例会見で、こう述べている。

政府として関与していない一議員の立場での活動への政府の対応については、岸田首相とのやりとり(事前に相談や報告を受けていたかを含め)の有無を含め、答えるのは控える」

「バイデン米政権の受け止め方や反応についても、コメントする立場にない。日米関係は、首相の訪米の成果踏まえつつ、引き続きあらゆる機会を用いて日米間の友好・信頼関係の一層の強化を図っていく考えだ」

 何とも杓子定規な反応だった。

 英国外務省のように「同盟国である両国政府の閣僚(および与党幹部)が相手国の大統領候補と共通な問題について意見交換することは、外交上の通常のエンゲージメント(約束事)の一環として標準慣行だ」と、さばけた答弁にはならないのだろうか。

 メディアのなかには、「バイデン政権は麻生・トランプ会談には不快感を示した」との報道まであった。

筆者が取材する限りバイデン政権内の責任ある者からそうした反応は示されなかった)

 むしろ日米が米英のように硬い絆で結ばれた同盟国であるならば、両国同士与野党を問わず政治家同士が、常日頃から共通の国家利益が絡むアジャンダについて自由に意見交換することこそ常道ではないだろうか。

 政権交代の可能性を視野に入れた「パイプ役」をにわか仕立てで作るのではなく、誰が政権担当者になろうとも基本的な外交スタンスを理解しておける議員交流こそ必要ではないだろうか。