日銀の含み益は30兆円超とも

 白川氏が総裁に就いていた2010年当時、日本経済は苦境に陥っていました。2008年9月のリーマンショックの影響で景気や株価は低迷。不況で物が売れずに価格が下がり、企業収益が減少して従業員の給与も減るという「デフレの悪循環」からの脱却が急務でした。

日銀の白川総裁(2013年当時)(写真:ロイター/アフロ)

 日銀のETF購入は導入当初、年間の上限が4500億円でしたが、異次元緩和の開始以降、上限額が次々と引き上げられていきます。

 その結果、黒田時代当初に年間1兆円余りだった購入額は、2018年には6兆円を突破。2019年はいったん前年を下回ったものの、2020年は新型コロナの感染拡大で株価が急落、景気も低迷し始めたことから購入額は最高の年間7兆円超となりました。

 現在、日銀が保有するETFの残高は簿価で約37兆円です。時価総額は、プライム市場(旧東証1部)全株式の時価総額(各企業の1株当たり株価に発行済み株式総数をかけて算出)の約7%に当たる70兆円超に達し、含み益は30兆円を超えるとみられます。