4月19日からインドで実施される総選挙を前に、ナレンドラ・モディ首相は、3月13日に行われたインド初の半導体3工場の起工式を国内外にアピールした。
インドで初めて半導体の国産化が実現するだけでなく、「世界の工場」と言われてきた中国に代わって、世界のサプライチェーンの中心になることを高らかに宣言したのだ。
インドと中国は、国境紛争を抱えた言わずと知れた犬猿の仲。
中国の習近平政権が打ち出した一帯一路政策には苦々しい思いを募らせてきた。そうした中、産業のコメと言われる半導体工場の建設はインドにとって悲願でもあった。
今回の起工式の演説で、モディ首相は中国に対する敵対心やライバル意識を隠そうともしなかった。
そう言われても、日本人は「あぁ、そうですか」と、無関心な人が多いかもしれない。しかし、発言の中に日本に対する反発や不満が含まれていたらどうだろう。
日本とインドは民主主義国家同士というだけでなく、クアッド(日米豪印戦略対話)のメンバーでもある。
インドの自動車市場はスズキ(マルチスズキ)がシェアトップで約43%を占める。トヨタ自動車も新工場の建設を表明している。また、今回の半導体工場には日本のルネサスエレクトロニクスも参画している。
さらに、我々日本人は気づいていないうちにインドの最先端技術を享受して暮らしている。
というのは、日本人の日々の生活に欠かせなくなっているスマホ決済サ-ビス「PayPay」は、インドの企業「Paytm」が開発した新技術を利用し、日本のソフトバンクとヤフーが事業開始したものだ。
「日本とインドは友好国ではなかったのか」と眉をひそめたくなるのではないか。
なぜインドは日本に不満なのか――。
モディ首相の経済顧問を務めてきたヴァーマニ博士が単独インタビューに応じ、インド経済の実情と日本への不満の真相を明らかにした。
同氏は、インドのIMF(国際通貨基金)代表やインド政府首席経済顧問を務め、モディ首相が会長を務める国のシンクタンク「NITI Aayog」の唯一の常任メンバーでもある。