日本からの進出企業が減っている

 中国とベトナムですね。

 そうです。共産国には積極的に投資して、インドには来ない。我々としては不可思議であり不満です。日本がインドに積極的に投資してくれれば、インドの経済発展はさらにテンポアップするはずです。

 中国に関しては、アジアでの存在感が増しています。一帯一路政策もあり、小さな国を含めアジア全体で中国の息のかかった国が増えています。

 日本はインドネシアにも積極的ですよね。インドネシアには行くのに、なぜインドまで来てくれないのでしょう。

 インドと日本の関係におけるゲームチェンジャーは安倍晋三元首相でした。

 インドの重要性を深く理解した日本の素晴らしいリーダーでした。亡くなられてインドは深い悲しみに暮れています。

 現在の首相や外相はどうされているのですか。動きや反応が非常に遅く感じるのは私だけでしょうか。

 実は、日本からの投資だけでなく、韓国からインドへの投資も止まっています。韓国も中国やベトナムへの投資は加速化させていますが、インドにはほとんど関心がない。

 日本の政府関係者や企業関係者などにその理由を聞いてもまともな返事や答えは返ってきません。

 人件費の高騰や政治的な問題で、日本企業が脱中国を進める動きがあるのは認識していますが、その行先はベトナムやインドネシアであってインドではない。

 私たちのポテンシャルを考えると、これは非常に不思議なことです。

総選挙前の3月13日、インド大手財閥タタグループがインド最大紙「The Times of India」に掲載したモディ首相肝入り国家プロジェクト、インド初の半導体工場起工式に関する広告記事(筆者撮影)

 ご指摘の通り、日本政府の統計では2023年7月(2022年10月調査時点)に発表されたインドに進出する日系企業は1400社と前年を下回りました。

 中国が豪州に制裁を科したことが国内産業に影響を及ぼし、豪州は中国への投資を積極化しています。そうした動きは活発なのに、インドはあまり見向きもされない。

 日本はインドにもっと目を向け、中国ではなくインドにもっと投資すべきです。

 最後に、モディ首相は今回の選挙で勝利する可能性が高いですね。また、クアッドの会議が延期されています。インドで開催するはずでしたが再開されていません。

 モディ首相が勝利するのはまず間違いないでしょう。世界の製造業の拠点としてエレクトロニクスやソフトウエアのハイテク分野でもイニシアチブを拡大する政策や法整備を進めていくはずです。

 クアッドに関しては、11月の米大統領選挙が終われば12月にはクアッドの会議が再開されると思います。