斜坑の半円形の壁には、通信・電気ケーブルや、排水管などが整然と取り付けられている。これから訪れる地下空間の命綱ともいえる。

 もぐら号が走行する線路横には手すりと白っぽい道のようなものがみえる(次の写真の黄矢印)。これは、非常時に地上に出るための階段だという。段数は2247段。別記事で紹介した「日本一のもぐら駅」土合駅でも486段だから、比べものにならない。使うような事態にならないことを願う。

 運行距離は778mで高低差は約200m。体験坑道駅まではあっという間で、7分が短く感じられる。もぐら号が減速し、駅が近づいてきたことを知らせる。

 竜飛斜坑線は単線なのだが、体験坑道駅直前に分岐する側線がある。現在も使われているかどうかはわからない。

 もぐら号はそのまま本線を進み、ゆっくりと停車した。これが世界で最も低い駅、体験坑道駅だ。

 もぐら号を降りたら、案内人に先導されて坑道内を進んでいくことになる。

青函トンネル工事の苦闘の歴史を目の当たりに

 本当は体験坑道駅をもう少しじっくり見たかったのだが、ぐずぐずしているとおいていかれてしまうので、急いで案内人の後を追う。