(英エコノミスト誌 2024年3月30日号)

コンサルティング会社に冬の時代が訪れようとしている

「CEO指南役」の黄金時代が終わりを迎えようとしているのかもしれない。

 今年3月、誰が書いたか分からない1枚の連絡メモがインターネット上を駆けめぐった。

 米マッキンゼー・アンド・カンパニーの元パートナーを名乗る書き手たちは、この高名な戦略コンサルティング会社が近年「野放図な成長」を追求していると批判し、よりによって経営陣には「戦略的フォーカスが欠けている」と毒づいた。

 そして同社の従業員に典型的に見られる謙虚さをもって、「正真正銘の偉大な組織」が破壊されるリスクにさらされていると警鐘を鳴らした。

 すぐに削除されたこの連絡メモは、マッキンゼーについて吐露された最新の不満にほかならない。

 同社では今年1月、ボブ・スターンフェルズ氏がマネージングパートナー再任を目指した社内投票に何度も臨む事態になった。初めの段階で過半数のシニアパートナーの支持を得られなかったためだ。

 最終的には再任を勝ち取ったものの、社内にゴタゴタが生じていることが示唆された。

コロナ下での急成長に急ブレーキ

 コンサルティング業界が不滅だと思えたのはそれほど昔の話ではない。

 新型コロナウイルス感染症のパンデミックの最中には、クライアントが業務のデジタル化やサプライチェーンの多角化、さらには強まる一方のESG(環境・社会・ガバナンス)関連の要求への対応を急いだことから、コンサルティング料金の相場が急上昇した。

 業界の最重要企業8社――3大戦略ファーム(ベイン・アンド・カンパニー、ボストンコンサルティンググループ=BCG、マッキンゼー)と4大会計事務所(デロイト、アーンスト・アンド・ヤング=EY、KPMG、プライスウォーターハウスクーパース=PwC)、世界最大のアウトソーシング企業でもあるアクセンチュア――がコンサルティング業務で計上した売上高は2021年に20%、2022年には13%増加した(図参照)。

 しかし、その後、業界の「グレート・エイト」の成長は伸び悩んでいる。

 同業界を調査しているケネディ・リサーチ・リポーツの推計と本誌エコノミストが開示資料に基づいて行った計算によれば、2023年の売上高の伸び率は5%程度だ。

 この背景には、景気の不確実性やインフレと格闘しているクライアントが派手なコンサルティング・プロジェクトへの支出を減らしている現状がある。

 M&A(企業の合併・買収)の減少も、デュー・ディリジェンス(資産査定)や組織統合支援といった業務の需要減少につながっている。