この実験では、ラベンダーの香りの効果も同時にテストしています。ラベンダーは後にも紹介しますが、良い睡眠を得るために昔から使われてきた香りです。ラベンダーの香りと睡眠の研究はすでにいろいろ行われているので、ベルガモットの効果と比較するために選ばれました。

 図2―2が実験結果です。減少率が高いほど、眠りに落ちるまでの時間(入眠潜時)が大きく減少したことを意味します。ベルガモットの香りは眠りに落ちるまでの時間を大きく減らしていますが、ラベンダーの香りではほとんど変化しなかったことが分かります。

 マウスとヒトではもちろん違いはありますが、逆にマウスの実験のほうが余計な要素を排除して、より純粋に香りの効果を見ることができるという利点もあります。ラベンダーとベルガモットでこのような差が出たのは興味深い結果です。

マウスでは不眠症治療薬とほぼ同等の効果

 ベルガモットの右の「プロチゾラム」とは不眠症の治療に用いられる医薬品です。緊張や不安をやわらげ、寝つきをよくします。プロチゾラムを投与したマウスも入眠潜時が減少していますが、その効果はベルガモットの香りとほぼ同等という結果となりました。ベルガモットとプロチゾラムを併用した場合(一番右)も効果はありましたが、単独の場合よりも少し効果が低くなることが分かりました。

 早く眠りにつくことができても、その分、早く目覚めてしまったら十分な睡眠をとることはできませんが、総睡眠時間を増加させる効果もあったことが右側のグラフから分かります。

 寝つきが悪いという人は、ベルガモットの香りを試してみるといいかもしれません。アロマディフューザーなどで寝室に香りを満たしたり、枕元に精油を少し染み込ませたハンカチやティッシュを置いてみたり、あるいは寝る直前に入浴をする人は湯船に精油を数滴垂らしてもいいでしょう。