- 中国が保守国家秘密法(国家秘密保護法)を14年ぶりに改正した。
- 国家機密に関する情報漏洩を徹底的に取り締まる内容だが、その範囲が極めて広く、通常の市場調査すら「情報漏洩」と指摘されかねないほどの状況だ。
- 習近平国家主席の独裁体制を強化する狙いがあるとみられるが、中国はもはや「秘密警察国家」となりつつある。
(福島香織:ジャーナリスト)
中国で保守国家秘密法(保密法、国家秘密保護法)が14年ぶりに改正された。2月27日に改正保密法は全人代常務委員会で採決され、5月1日から施行される。
本来なら昨年の全人代でこの改正保密法が裁決され施行される予定だったらしい。だが、そのころは中国としてはまだ外資の回流を多少とも期待していたので、あえて改正を遅らせたらしい。
今回、来週から春の大政治イベント、両会(全国人民代表大会=全人代、全国政治協商会議=全国政協)が開幕するタイミングで、改正保密法が可決された。その理由はおそらく、習近平政権として完全に経済の回復期待に見切りをつけ、経済よりも地方官僚、政治家たちが両会の場で、習近平の政策の失敗に言及するのを抑え込むのが狙いではないか。そして、「習近平体制の安全」を確立するのが目的だろう。
この改正保密法とはどんなものなのか。
保密法は改革開放政策が打ち出された後の1988年に制定された。当時の目的としては改革開放により中国に流入した外資に対して、情報提供のガイドラインを作るためだった。2010年に初めてこの法律は改正されるわけだが、その時は中国が世界2位の経済規模に成長したタイミングで、国際社会における大国としての役割が期待されていた。
そのために、当時の中国では外国との情報のやり取りが緊密化しており、この法改正によって情報管理の調整が必要とされたのだった。いずれも中国の対外情報発信量が増えるのに伴う情報管理の調整が目的だった。
だが今回の法改正は、これまでとは若干目的が変わってきているようだ。