北野武監督をはじめ、映画監督を務めるお笑い芸人は少なくない。松本人志や太田光、品川ヒロシ、劇団ひとり、バカリズム、板尾創路や木村祐一もそう。
この度、お笑いコンビ・ナイツの塙宣之が監督デビューを飾った。が、これまでの芸人監督とはどうやら事情が違うようである。当初、塙は監督の話に乗り気ではなかったという。
7代目会長の自負
彼が監督した映画『漫才協会 THE MOVIE 舞台の上の懲りない面々』はドキュメンタリー。脚本を書いて、監督するのではなく、いろんな人に密着して、漫才協会にはこんな人がいるんだということを知ってほしい。そこには彼の漫才協会7代目会長としての自負がある。
彼が史上最年少で漫才協会の理事に就任したのは2007年。若いのに理事ということを逆手にとり、師匠をいじるような芸で普段、テレビでは見かけないような大御所を紹介した。その頃の協会員100人ほどで、半分以上が彼らの師匠だったという。
ところが今ではその手法は通用しない。現在、協会の会員は200人以上で、師匠クラスは30人。15年ほどで、勢力図は様変わりした、師匠たちはどんどん亡くなっていく。以前とは違う形で、協会に注目してもらわなくては。本作はそんな彼の思いが詰まった、ユニークなドキュメンタリーなのである。