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アジアの国々で根強いジェンダーギャップが浮き彫りに

 昨年末、映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』で来日したヒュー・グラントが六本木で妻のためにコーヒーを運んでいる姿がキャッチされ、かつてのプレイボーイが尻に敷かれているといったようなニュース記事が出て、衝撃を受けた。ショックだったのはヒュー様にではなく、書いた記者の思考についてである。

 コロナになるずいぶん前から、「空港などで日本の男性が女性にコーヒーを運ばせている姿をよく見かけるが、あれは召使なのか」と世界から冷笑されていたことを知らないのであろうか。

 世界経済フォーラムが発表した、男女格差を示す2023年のジェンダー・ギャップ指数の日本の総合順位は世界125位で過去最低であった。韓国の105位、中国の107位も酷いが、先進国とは思えない事態である。

 ファン・ビンビンの俳優復帰作、『緑の夜』。

 作品では特にジェンダー格差に関して、言及してはいない。それでも支配する側、される側、男性と女性の現実が映し出されてゆく。

 昼間の現実の惨さと対比するような夜の夢のような儚さ、眩しさ。ファン・ビンビンの現実離れした美しさやイ・ジュヨンの性を超えた軽快さが救いとなり、大人のためのおとぎ話のように見えるが、アジアがどんなにジェンダー後進国であるのかという現実を突きつけられる。