- 電気自動車(EV)市場の伸びに減速感が漂い、業界関係者の多くが「踊り場に差し掛かった」と指摘する。
- EV市場を盛り上げていたアーリーアダプターが一巡したほか、ESG投資ブームも過ぎ去った。
- EVを普及させるにはエネルギーの地産地消など大規模な構造転換が必要といった「現実」が見えてきており、踊り場から脱する道筋が見えない。(JBpress)
(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)
世界の電気自動車(EV)市場の成長が「踊り場」に差し掛かっているとの見方が、自動車産業界やメディアの間で広まっている。
例えばホンダ。2040年時点でグローバルで製造する全ての四輪車をEV化する事業方針を発表しており、1月上旬には米ラスベガスで開催された世界最大級のテクノロジー見本市「CES」で、次世代電気自動車(EV)の「ゼロシリーズ」を初公開した。
だが、それに先立つ昨年12月、ホンダが都内で実施したゼロシリーズに関する事前説明会の席上、EV事業統括責任者は「EVは今、踊り場にある。だが、長期的な視点では、EVシフトは今後も着実に進む」との見解を示した。
ホンダ以外の日系自動車メーカーも似たような認識だ。各社の幹部らとEV市場の現状について意見交換していると、「踊り場」という表現が最近よく出てくるようになった。
なぜ「踊り場」に差し掛かったのか?
その原因を検証する前に、まずは直近でのグローバルでのEV市場の現状を振り返ってみよう。