またその友人によると、そもそも中国の学校で教える歴史は中国共産党の設立(1921年)以降が中心とのことです。それ以前となると、比較的時代の近い明朝や清朝を取り扱うことはあっても、他の時代はごくあっさりとしか教えていないそうです。つまり、元寇は、中国の学校では基本的に教えられていないのです。

 筆者が思うに、中国の王朝の中で元朝は人気が低いということも影響しているかもしれません。漢民族ではなくモンゴル民族による王朝ということもあり、現代中国人は「元朝は別枠」と捉えているようにも見受けられます。そのため、元朝の歴史自体にあまり関心がない、ということはあり得ます。

ゲームをきっかけに元寇を知った人も

 身近な中国人で元寇を知っている人はいませんでしたが、インターネットの世界ではどうか。ネット上で中国人の元寇への反応を探ってみました。

 さすがにネットの世界には歴史マニアの中国人がごろごろおり、元寇について解説しているサイトもいくつか存在しました。

 中には、ゲーム「ゴースト・オブ・ツシマ(Ghost of Tsushima)」に絡めて元寇を紹介しているサイトもみられました。「ゴースト・オブ・ツシマ」とは、ソニー・インタラクティブエンタテインメントが2020年7月に発売したプレステ用のアドベンチャーゲームです。文永の役(1274年)で元軍の侵略を受けた対馬を舞台としており、世界的に大ヒットして中国でも人気を博しています。

 このゲームをきっかけに元寇を初めて知ったという中国人は少なくないようです。実際にゲームを紹介しながら元寇を解説する新聞記事もみられました。

 なお「ゴースト・オブ・ツシマ」の中国語タイトルは「対馬島之魂」です。筆者は個人的に、日本語版もこっちの方が良かったのではないかと思います。