欧米各国が拠出停止を表明

 昨年10月以降、イスラエルはガザに激しい攻撃を加え、この4カ月で2万7000人を超す人々が死亡し、住民の8割にあたる170万人以上が避難を余儀なくされています。その避難所となっているのがUNRWAの学校や医療機関です。本来であれば、UNRWAの活動が今ほど必要とされる時期はありません。そこに「UNRWA職員がハマスの攻撃に関与していた」という情報が飛び込んできたのです。米紙ニューヨーク・タイムズの報道によれば、12人のUNRWA職員がイスラエル人を拉致したり、攻撃計画の話し合いに参加したりしていたとされています。

 イスラエルは、UNRWA全体にハマスが潜入しているとして別組織に改変するよう主張しています。もっとも、イスラエルは当初からUNRWAの発足に反対しており、これまでも解体を主張していました。

UNRWAに抗議するイスラエル人(写真:ロイター/アフロ)

 西側の主要な国々はイスラエルの主張に信ぴょう性があると考え、資金の拠出停止を次々と表明しました。最大拠出国の米国や2位のドイツをはじめ、UNRWAへの財政支援を手控える意向を示したとされるのは十数カ国に上ります。拠出額6位の日本も加わっています。

 逆に資金拠出を停止しない国もあります。ノルウェーは「いま支援をやめればガザ住民の人道状況は著しく悪化する」として、各国に拠出を続けるよう呼び掛けています。たった12人のテロ関与によって、ガザに1万3000人いる職員が活動できなくなるのはおかしいという主張です。

 UNRWAは活動資金の大部分を各国の自発的な拠出金に頼っています。したがって、その収入が断たれると、活動はストップしてしまいます。UNRWAは「このままでは2月中にも事務所を閉鎖しなくてはならなくなる」との見通しを発表しました。国連は拠出停止を表明した国々に撤回を求めています。