あなたはブロッコリーが好きですか?(写真:Bukhta Yurii/Shutterstock.com

ある野菜が国の定める「指定野菜」に半世紀ぶりに追加されることになった。ブロッコリーだ。ブロッコリーは栄養価が高く食卓の彩りとしても人気の野菜。とはいえ、ほかにも同じように栄養がありメジャーな野菜はあるはずだ。なぜ、ブロッコリーが指定野菜になったのか。背景には意外な理由も?(JBpress)

(杉原健治:フリーライター)

「指定野菜」は全部で14品目

 そもそも、国が定める「指定野菜」とはいったい何か。

 1966年、「野菜生産出荷安定法」が制定され、国内で消費される野菜で特に消費量の多いものが「指定野菜」として定められるようになった。現在キャベツや大根、キュウリ、トマトなど14品目が指定されている。農林水産省は1月22日、2026年度からここにブロッコリーを加える方針を発表した。指定野菜が追加されるのは、1974年の馬鈴薯(じゃがいも)以来、実に半世紀ぶりだ。

ブロッコリーは「映える」(写真:Brent Hofacker/Shutterstock.com

 指定野菜の中で規模が大きい産地は「指定産地」として定められる。指定産地になると、指定野菜の価格が安くなった場合に国から補助金がでる。野菜の栽培は天候の影響を受けやすく、市場への供給量の変動とともに価格も大きく変動してしまう。補助金を出すことで農家の負担を抑え、継続して指定野菜を栽培してもらうよう働きかける。このように、指定野菜は毎年安定して供給される仕組みが出来上がっている。

 このほか、指定野菜に準ずる「特定野菜」というカテゴリーもあり、現在、ブロッコリーは「特定野菜」に定められている。特定野菜はブロッコリーのほか、アスパラガスやかぼちゃ、小松菜など現在35品目が指定されている。

 指定野菜と同じく特定野菜も市場価格の下落によって国から補助金がでるが、補助の手厚さでは指定野菜より劣る。ブロッコリーは指定野菜に認定されたことで、言ってみれば「昇格」したということになる。