イーロン・マスクによる買収後、プライバシーポリシーなどさまざまな規約の改定が行われてきたSNSの「X」。一部の規約改定が、バズった投稿に対して意味のない返信をつけまくるアカウント、いわゆる「インプレゾンビ」を大量に生んだとして問題となっている。まさにゾンビのごとく、わらわらと湧いてくる迷惑なアカウントへどう対処すればいいのだろうか。(杉原健治:フリーライター)
まるでゾンビのようにリプ欄に湧いてくる
X(旧Twitter)上にはリアルタイムの情報が流れることが多いため、情報収集や災害時の安否確認などに利用する人も多い。しかしそういった情報源としての機能を脅かしかねないのが、「インプレゾンビ」だ。2024年1月1日に起きた能登半島地震の際にはSOS情報をインプレゾンビが大量にコピーして投稿、必要な情報が埋もれるなど大きな問題になった*1。
*1:能登半島地震で大量発生、悲劇に便乗した「インプ稼ぎ」で金儲けする悪い奴ら(JBpress)
そもそも「インプレゾンビ」とは、インプレッション(ポストが閲覧された回数)を稼ぐためにフォロワー数の多いアカウントの投稿やバズった投稿に対して意味のないリプライ(返信)を繰り返すbotアカウントのこと。元の投稿に全く関係のない返信や絵文字だけの返信、もしくは他のユーザーのリプライをコピーして返信する「パクリプ」などを行うのが特徴だ。
「収益化」がゾンビを生んだ
元の投稿者や情報を得たいフォロワーにとって非常に迷惑な「インプレゾンビ」が大量発生した背景には、Xの規約改定があると見られている。Xにはある一定の条件を満たしたアカウントに広告収益が還元される、いわゆる「収益化」のシステムが存在する。収益化の条件はいくつかあるが、「3カ月以内のインプレッション数が500万以上」というのがその1つとされ、これを満たすために無意味な返信を繰り返しているようだ。
Xアカウントを収益化するには、有料プラン「X Premium」に加入しないといけない。したがって、インプレゾンビたちも必然的に有料プラン加入者となるわけだが、Xでは有料プラン認証メンバーの返信が優先して表示されるようになっている。そのため、意味のないインプレッション稼ぎの返信が上位に多く表示されてしまうのだ。