- ロシアやイランと欧米諸国が直接的な武力衝突に陥る懸念が高まるなか、英国では兵力の激減が深刻な状況になっている。
- 英タイムズ紙は陸軍の兵力は2026年までに2010年から約4割減少すると分析。英陸軍参謀総長などがロシアとの戦争への備えの必要性を訴えかけている。
- そんな「戦前」ムードに不安を募らせているのがZ世代だ。今後の国防を担うことを期待されるが、危機を招いた従来世代のツケをZ世代に払わせるのは不条理だろう。(JBpress)
(楠 佳那子:フリー・テレビディレクター)
米ホワイトハウス、並びに国防総省は1月28日、シリア国境に近いヨルダンの米軍拠点への無人機攻撃により、米兵3人が死亡したと発表した。少なくとも34人が負傷したとの情報もある。バイデン大統領はこの攻撃が、イランの支援を受けシリアとイラクに展開する武装組織によるものであると、イランを名指しで糾弾した。バイデン氏は声明でこの攻撃を行なった者たちに「我々の望む時期と手段において、責任を負わせる」と報復を誓った*1。
*1:Statement from President Joe Biden on Attack on U.S. Service Members in Northeastern Jordan Near the Syria Border(THE WHITE HOUSE)
Statement From Secretary of Defense Lloyd J. Austin III on an Attack Against U.S. and Coalition Forces in Northeastern Jordan Near the Syria Border(U.S. Department of Defense)
昨年10月にイスラエルとイスラム武装組織ハマスとの紛争が勃発して以来、中東地域では大国イランの「代理勢力」である各地の武装組織と米英などとの間で、衝突が頻発していた。1月11日、イエメンの武装組織フーシ派に向けイラン製の武器を輸送していたダウ船(アラビア海などで使われる伝統的な帆船)を迎撃した米海軍の特殊部隊が溺死した件を除き、攻撃によって米兵が死亡したのは、昨秋のハマスとイスラエルとの紛争開始以来、初めてのことだ。
英ガーディアン紙が指摘しているように、米国もイランも、双方が直接の戦闘を避けたいという意志は共通している。しかし、このところの地域の緊張の高まりで恐れられてきたように、米軍に死者が出たことで、直接紛争への可能性が一層高まった感は否めない*2。
*2:Biden vows response at time ‘of our choosing’ after three US troops killed in Jordan drone attack(The Guardian)
イランが相次ぎ周辺国にミサイル攻撃、米英との「直接」戦争に向かうのか?(JBpress)
今秋大統領選を控えた米国では早速、野党共和党によるイランへの強硬論が高まっている。