1月27日、独デュッセルドルフでの反極右デモ(写真:DPA/共同通信イメージズ)
  • ​ドイツ国内が大規模なデモに大揺れだ。ドイツ極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の幹部がネオナチと移民排斥計画について謀議していたことに対する抗議である。
  • 独調査報道機関が暴いたその内容は、移民をアフリカに強制移住させようという、ナチスによるユダヤ人排斥を彷彿(ほうふつ)とさせるおぞましいものだ。
  • デモの参加者は1月20日の週末に100万人を超え、先週末も各地で数十万規模が参加したと見られ、全国で膨れ上がっている。かつてシリア難民を積極的に受け入れたドイツは「欧州の良心」と言われたが、欧州で広がる極右勢力の台頭ムードに楔(くさび)を打てるか。(JBpress)

(楠 佳那子:フリー・テレビディレクター)

 今月19日ごろからその週末にかけて、ドイツの100カ所以上で100万人規模のデモが起きた。ミュンヘンやハンブルクなどの大都市圏では、数万人単位というあまりの参加者の多さに、安全面を考慮して予定よりも早く切り上げるなどの措置がなされた。ちなみに、19日にはハンブルクで5万人、ミュンヘンでは21日に、警察発表で10万人が参加している。

1月21日、独ミュンヘンで開かれた極右勢力に反対するデモ(Max Ludwig/Alto Press via ZUMA Press/共同通信イメージズ)

 抗議活動は先週末も続き、平日にも関わらず25日木曜の夜から、各地で数千人規模の人々が声を上げ始めた。27日には主要都市の1つデュッセルドルフで、10万人規模のデモ参加者が通りを埋めた*1

*1Tens of thousands pack into a protest in Hamburg against Germany’s far right(AP)
Hundreds of thousands demonstrate against right-wing extremism in Germany(REUTERS)
Over 1 million rally in Germany against rising power of far-right party(The Washington Post)
Hundreds of thousands throughout Germany protest against far-right(dpa international)

 米ワシントン・ポストなど複数の欧米メディアは、15日の週に起きたデモの参加者が140万人に上ったと報じている。年間を通じて最も気温が低く、また積雪量も多い1月の寒空の下、首都ベルリンの連邦議会前など、膨大な数の人々が平和的に集う姿を映した画像や動画は、圧巻だ。

 これほどまでにドイツ市民の熱量を呼び起こしたものは、一体何か。引き金となったのは、今月15日、ドイツの調査報道機関・コレクティフ(Correctiv)によって暴かれた「大量移民追放計画」だ*2

*2Secret plan against Germany(CORRECTIV)

1月21日、独ミュンヘンのデモで掲げられた反AfDのプラカード(写真:Alexander Pohl/Alto Press via ZUMA Press/共同通信イメージズ)

 コレクティフは、昨年11月、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の幹部らがネオナチなどと共に、たとえドイツ国籍保持者であっても、「ドイツに完全に同化していない」移民などを、大量にまとめて北アフリカに強制移送するという謀議に加わった様を克明につづっている。平たく言えば、自分たちの意に染まない難民や移民の人たちの大量排除を目論んでいたということになる。

 この謀議が100万人以上ものドイツ人を突き動かしたのは、移民移送計画そのものがナチス・ドイツ支配下のユダヤ人に対する苛烈(かれつ)な迫害の歴史の再現だからだ。1930年代終盤には、ナチスが敵視していたユダヤ人を大量にマダガスカルに強制移送する計画が存在した。移送計画だけでは満足せず、大量虐殺が実行された。ナチスの差別思想により、600万人余りのユダヤ人が命を失った。