二国間合意から多国間協定へ
いったん二国間合意が成立すれば、それを基礎として多国間協定を結ぶのは一般的な外交手法である。化石燃料事業への開発援助や投融資の推進は広く歓迎されるだろう。なぜなら、それは経済繁栄の礎であり、エネルギー安全保障の強化にもなるからだ。東アジアや東南アジアはもちろん、グローバル・サウスからも広く参加を募ることができるだろう。
このような動きからは、政治が左派寄りになってしまっているEUは、当面は孤立を余儀なくされるだろう。だが政治バランスが右派にシフトする一方で、パリ協定の破綻がますます明らかになれば、EUも関与を弱め、パリ協定は実質的に死文化する。
かつて、2010年、日本の離脱によって1997年に合意された京都議定書は事実上消滅した。パリ協定も同様になるだろう。
その結果、アメリカの重要な同盟国である日本とEUは、脱炭素政策を中止する。これによってG7は経済的自殺を止め、再び強くなることができる。
日本のエネルギー基本計画とパリ協定からの離脱
最後に、パリ協定による悪影響を最小化し、日米合意にスムーズに移行するための日本の重要なステップを提案する。
2024年は日本が第7次エネルギー基本計画を策定する年であり、2025年2月はパリ協定の2035年までの数値目標(正式にはNDC=Nationally Determined Contribution)の提出期限である。2023年のCOP28では、世界全体の目標として2035年までに60%削減(2019年比)が提案された。