北朝鮮の最高人民会議に臨む金正恩朝鮮労働党総書記。「南北統一」の目標を放棄し、韓国を「第1の敵国」と定めるべきと述べた=1月15日、平壌北朝鮮の最高人民会議に臨む金正恩朝鮮労働党総書記。「南北統一」の目標を放棄し、韓国を「第1の敵国」と定めるべきと述べた=1月15日、平壌(写真:朝鮮中央通信=共同)

(舛添 要一:国際政治学者)

 ウクライナやガザでは戦争が続いており、すぐに停戦する気配はない。一方、台湾の総統選では民進党候補の頼清徳が当選し、台湾有事の可能性を強めたとみられている。

ロシアに接近する北朝鮮

 1月17日、プーチン大統領は、モスクワで北朝鮮の崔善姫(チェ・ソニ)外相と会談した。プーチンが、訪露中の外国の外相と会うのは異例であり、厚遇ぶりが際立った。

1月16日、握手を交わすロシアのプーチン大統領(左)と北朝鮮の崔善姫外相。=モスクワ(写真:タス=共同)1月16日、握手を交わすロシアのプーチン大統領(左)と北朝鮮の崔善姫外相。プーチンが訪ロ中の他国の閣僚に会うのは異例のこと=モスクワ(写真:タス=共同)

 崔外相は、その前にラブロフ外相と会談しており、その内容をラブロフとともにプーチンに報告した。また、崔外相は、プーチンの北朝鮮訪問を招請する金正恩総書記の意向を伝えたという。さらに軍事、経済、文化などの分野での交流の活発化などが話し合われたようである。

1月16日、モスクワで会談した北朝鮮の崔善姫外相(左)とロシアのラブロフ外相(タス=共同)1月16日、モスクワで会談した北朝鮮の崔善姫外相(左)とロシアのラブロフ外相(写真:タス=共同)

 昨年9月には、金正恩は、アムール州のボストーチヌイにある宇宙基地を訪ね、プーチンと首脳会談を行った。そして、砲弾の提供と引き換えに、ロシアの最新軍事技術を得たようである。とくに軍事偵察衛星の打ち上げには、5月と8月に失敗しており、その改善のための措置を教示してもらったようである。そのおかげで、北朝鮮は11月21日には発射に成功している。

 ロシアは、北朝鮮製の砲弾のみならず、弾道ミサイルもウクライナで使用したことが明らかになっている。戦争が長引くにつれて、ロシアにとっては軍需工場としての北朝鮮の役割が大きくなりそうである。