(舛添 要一:国際政治学者)
ウクライナやガザでは戦争が続いており、すぐに停戦する気配はない。一方、台湾の総統選では民進党候補の頼清徳が当選し、台湾有事の可能性を強めたとみられている。
ロシアに接近する北朝鮮
1月17日、プーチン大統領は、モスクワで北朝鮮の崔善姫(チェ・ソニ)外相と会談した。プーチンが、訪露中の外国の外相と会うのは異例であり、厚遇ぶりが際立った。
崔外相は、その前にラブロフ外相と会談しており、その内容をラブロフとともにプーチンに報告した。また、崔外相は、プーチンの北朝鮮訪問を招請する金正恩総書記の意向を伝えたという。さらに軍事、経済、文化などの分野での交流の活発化などが話し合われたようである。
昨年9月には、金正恩は、アムール州のボストーチヌイにある宇宙基地を訪ね、プーチンと首脳会談を行った。そして、砲弾の提供と引き換えに、ロシアの最新軍事技術を得たようである。とくに軍事偵察衛星の打ち上げには、5月と8月に失敗しており、その改善のための措置を教示してもらったようである。そのおかげで、北朝鮮は11月21日には発射に成功している。
ロシアは、北朝鮮製の砲弾のみならず、弾道ミサイルもウクライナで使用したことが明らかになっている。戦争が長引くにつれて、ロシアにとっては軍需工場としての北朝鮮の役割が大きくなりそうである。