しかし、現代建築への広がりを考えるならば、まず覚えるべきは“レーモンド・スクール”だろう。チェコ出身のアントニン・レーモンドだ。
アントニン・レーモンドはプラハの大学を卒業後、米国に渡り、フランク・ロイド・ライトの事務所などで働く。1919年、帝国ホテルの設計のために来日。完成後も日本にとどまって活動した。
米国時代に結婚したノエミ・レーモンドは、アントニンの下で長年にわたりインテリや家具デザインを担当。
レーモンドはコンドルと違い、学校で教えてはいない。レーモンド・スクールはレーモンドが主宰する設計事務所であり、オンザジョブの教育だった。
レーモンド・スクールの存在の大きさは、次のスナップ写真1枚を見るだけでも分かる。
ジョージ・ナカシマは米国で育ち、日本でレーモンドに師事した後、再び米国に戻って活動。前川國男はパリでル・コルビュジエに学び、レーモンド事務所を経て独立。吉村順三はレーモンド仕込みのモダニズムと日本の伝統建築の融合を図る。