“ゆとり”をどう生かすか
次回からデジタル化の成果を詳しくみていくが、まずは各事例に共通している成果として、仕事のスピードが上がっていることを挙げておきたい。
中央工機はパッケージ型の生産管理システムに合わせて仕事の進め方を見直した結果、毎日1000品目以上の金属部品をつくっているにもかかわらず、注文からほぼ3日以内に納品できる態勢を確立した。
有本電器製作所はAI音声入力を活用するようにしたことで、これまで手書きで行っていた作業の進捗報告に関する仕事をデジタル化した。おかげで、回答に数日を要していた取引先からの納期問い合わせに即日回答できるようになった。
インタフェースは、ロボットやシステムなどハード・ソフトの両面から独自のデジタル化を進めた結果、生産工程の50%を自動化し、生産ラインを増やさずに数千万通りの製品をつくれるようになった。さらに効率良く生産できるよう、AIや画像処理などの技術を自社で取り入れている。
このように、デジタル化によって効率的に仕事ができるようになる、つまり同じ仕事をより短い時間でできるようになれば、仕事にゆとりが生まれる。そして重要なのが、このゆとりをどう活用するかである。
次回、デジタル化が経営にもたらす成果を深掘りしていきたい。
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