(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)
大スターたちが次々と…
昭和の時代に名を馳せた歌手やタレントの訃報が相次ぐ。
10月8日には、シンガーソングライターの谷村新司が74歳で死去。
14日には、「タケモトピアノ」のCMで知られる俳優でコメディアンの財津一郎が、慢性心不全で亡くなる。89歳だった。
18日には、「もんた&ブラザーズ」などで活躍したシンガーソングライターのもんたよしのりが、大動脈解離のため72歳で亡くなると、27日にはコミックバンド「クレージーキャッツ」のメンバーで俳優としても活躍した犬塚弘の訃報が伝えられた。94歳だった。これで「クレージーキャッツ」のメンバー全員が鬼籍に入ったことになる。
「クレージーキャッツ」が人気を集めたのは、1960年代のこと。1955年にハナ肇(1993年に死去)に誘われた犬塚らがグループの前身となる「キューバン・キャッツ」を結成すると、植木等(2007年に死去)、谷啓(2010年に死去)らが加入し、テレビバラエティー「シャボン玉ホリデー」や、1961年発売の「スーダラ節」が大ヒットした。
とはいえ、それも私が生まれる以前のことで馴染みも薄い。むしろ、後進の「ザ・ドリフターズ」を見て育った世代だ。まして、平成生まれともなると、知らない人のほうが多いはずだ。
ただ、私の中には『馬鹿が戦車(タンク)でやって来る』というハナ肇と犬塚弘が共演した山田洋次監督の映画が、強く印象に残っている。公開は1964年12月で、やはり私が生まれる以前の作品だが、それでも大学生だった頃にクレージーファンの先輩に勧められて観た。