個別の投資銘柄選択などよりもはるかに重要であり、「年金運用経営者」の専管事項だ。人任せにはできない。
今の米国株のように危険なレベルまで過大評価で膨らんでいる「資産クラス」を円の安全資産に置き換える「リスクオフ」のような重要な決断をするのも、日本の「成長企業投資」に大きく配分するのも、「年金資産」の「配分」の決断であり、「年金運用」の根幹だ。
何より難しい資産配分
「資産配分」は難しい。
短期国債のような「安全資産」ばかりにしてしまえば、年金受給者に約束している「予定利率」を達成できない。
かといって、これまでの収益が高かったからといって、今の米国株のように過大に評価された資産への配分を放置すれば資産暴落の危険がある。
「資産配分」のほかにも、「運用スタイル」を選択するのも、優れた資産運用会社を選ぶのも、「自家運用」のために優秀な資産運用スタッフを採用するのも「年金経営者」の仕事である。
「年金運用経営」の「目標」を立て、達成するための「方針」を決め、「実行」し、結果を「検証」する。
プロセスと結果を「説明」し「公開」する。
企業経営のPDCAサイクルと同じで、しっかりとした経営と方針の表明、経営結果の公開と説明責任、外部からの意見の建設的な取り入れとステークホルダーからのサポート、「年金運用経営」のための担当者の育成。
こうした「好循環」を確立した時に、「年金運用経営」は大きな成果を発揮し、企業年金であれば、従事員への高い年金給付、低い企業=株主負担、高い従業員モラル、社会的責任の充足やパーパスの達成をもたらすだろう。
特に、広く「ディスクロージャー」が求められる上場企業の「企業年金運用経営」において、今後顕著な効果が発揮されるだろう。
「年金運用経営」の「経営方針」や「戦略」についての市場の理解、「運用結果」についての相対比較による「運用競争」をもたらすだろう。
もちろん、市場関係者といえども、「短期的利益」の追求や「利益誘導」は厳禁であり、そうした行為に対しては罰則や禁止規定が必要になる。