過去20年で日本企業の経営は急速に改善してきた。
今や、日本企業の「経営者」には「経営戦略」と「経営目標」と「パフォーマンス」、そして「説明責任」と「ディスクロージャー」が強く求められている。
こうした「コーポレートガバナンス」の各要素が実行され、企業社会や株式市場に浸透することで、日本企業の経営は量的にも質的にも飛躍的に向上した。
日本の株価上昇の最大の背景だ。
年金運営者に求められるガバナンス
これからの「年金運用経営者」にも「ガバナンス」と「経営能力」が求められる。当たり前だ。
企業年金でいえば、従業員という「年金受給者」と株主という「資金拠出者」の双方の「年金加入者」への責任があるのだから、「企業経営」の一環としても、高い「パフォーマンス」が求められる。
つまり、企業の「コア・コンピタンス」に関わるのだから、「企業評価」や「株価」や企業経営者への評価にも連動するはずだ。
だから、企業のディスクロージャー制度と投資家保護に責任をもつ証券取引所や金融庁が「年金運用経営」についてのディスクロージャーを求めるのは当たり前である。
企業の取締役と同様に、「年金運用経営者」にも「受託者責任」を果たすに相応しい経験や能力と説明責任が求められるのも当然のことだろう。
そうなると、必然的に優れた「年金運用経営者」がいなくてはいけない。「年金運用」の「経営戦略と方針」を作るのが、「年金運用経営者」の仕事である。
「年金運用」そのものの最高責任者は「年金CIO(最高運用責任者)」であり、プロとしての責任を果たすだけの能力と経験が必要である。
既存の年金組織の中にいなければ外部からでも採用すべきだし、人材育成も必要になる。
「年金CIO」の上に立つ「年金CEO(最高経営責任者)」は、年金給付や企業負担も含めた年金経営全体の最終責任を持つことになる。
「年金CEO」と「年金CIO」は共同して、自らの年金の「長期年金債務」と「リスク許容度」に基づいて、「年金運用」が上回るべき「運用目標」を設定しなくてはいけない。
「年金運用経営者」にとって最重要の仕事は「資産配分」である。アセットアロケーションともいう。
「年金運用」の結果の9割は「資産配分」で決まるからだ。