「オレが純歌を信じて別居をしているんだから、他人に文句を言われる筋合いはない」
どれくらいのキャリアの記者なのかはわからないが、残念ながらこのような非常識なことを口にする記者がいることも事実である。純歌の目には女性記者は30歳にも達していないように見えたというから記者経験が少ないのは間違いないだろう。純歌と女性記者が押し問答をしているところに女性記者よりも年配の男性記者が合流し、2人による“追及”が続いた。
質問の主旨は、別居したのは純歌に男が出来たからというもので、純歌がそれを何回も否定しても諦めることがなかった。純歌は仲本の奥さんであるが、ほとんど一般人であり彼女が別居していたことをもって記事を作るのはハナから無理であろう。少なくとも仲本が別居に不満を抱いているといった事情がなければ記事として成立しない。
失礼極まりない取材を受けた純歌はすぐに仲本に連絡を取った。
「オレが純歌を信じて別居をしているんだから、他人に文句を言われる筋合いはないだろう」
純歌は仲本の言葉を聞いて励まされた。そしてこのときは、これが記事になるとは全く想像すらしていなかった。