9月6日、ウクライナのザポリージャで、ロシアとの最前線に近い場所でM2ブラッドリー歩兵戦闘車の中に座る第47独立機械化旅団のウクライナ兵士(写真:ロイター/アフロ)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

バイデン氏とゼレンスキー氏は一蓮托生

[ロンドン発]9月21日、米ホワイトハウスでジョー・バイデン米大統領と会談したウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は「今年もう3回目(の首脳会談)だ。定期的な対話は両国が本当に同盟国であり、戦略的な友人であることを証明してきた。この信頼とサポートは米国の上下両院、両党から感じた」と慎重に言葉を選びながら話した。

 ウクライナ軍の反攻が不発に終わる中、米野党・共和党では泥沼化する恐れのあるウクライナ支援への懐疑論が強まっている。

 米英両国と並ぶ最大の支援国だったポーランドでもウクライナの穀物輸出を巡る利害対立からポーランドのマテウシュ・モラウィエツキ首相が「今後ウクライナに武器は送らない」と表明する騒ぎに発展した。

 戦争を長引かせてウクライナを疲弊させ、米欧の結束の乱れを待つウラジーミル・プーチン露大統領はイランや北朝鮮から武器弾薬を調達する。ドル高の逆風の中、サウジアラビアと結託して原油価格を釣り上げる。原油価格が高止まりする限り、プーチンは安泰だ。来年の米大統領選でドナルド・トランプ前米大統領が返り咲くのを待てばいい。

 米欧の支援が止まればウクライナに勝ち目はない。首脳会談はゼレンスキー氏にとっては米国とウクライナの結束を示して米欧の支援を繋ぎ止める目的があり、再選を目指すバイデン氏にとってはトランプ氏をはじめとするウクライナ支援懐疑論を封じ込める狙いがある。バイデン氏はすでにゼレンスキー氏と一蓮托生と言えるだろう。

9月21日、ホワイトハウス大統領執務室で、ゼレンスキー大統領の肩に手をまわしながら言葉をかけるバイデン米国大統領(写真:ロイター/アフロ)