ロンドンのイギリス空軍博物館に展示されている巡航ミサイル「ストームシャドウ(Storm Shadow)」(資料写真、Rept0n1x, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons)

(数多 久遠:小説家・軍事評論家、元幹部自衛官)

 9月22日、ロシアが占領しているクリミア半島南西部の都市、セヴァストポリに置かれたロシア黒海艦隊司令部が巡航ミサイルによって攻撃、破壊されました。

 ウクライナ軍参謀本部が、この攻撃がウクライナ空軍機によるものであり、イギリス製巡航ミサイル「ストームシャドウ(Storm Shadow)」を使用して実施されたものであることを認め、攻撃の態様がかなり分かってきました。

 以下では、今回の攻撃がどのようなものであったのか概括し、なぜ攻撃が成功したのか考えてみたいと思います。

ウクライナが実施した攻撃とその理由

 作戦には、ウクライナ空軍のSu-24戦闘爆撃機が使用され、イギリスから供与された巡航ミサイル、ストームシャドウが使用されています。

 ウクライナ軍参謀本部の発表によると、着弾時の映像が流れたことで注目を集めた黒海艦隊司令部だけでなく、防空ミサイルシステムなどにも攻撃を加えたとのことです。

 また、9月13日にも、今回攻撃を受けた司令部から800mほど離れた船舶修理用のドックにあった潜水艦と艦艇が攻撃を受けて損傷している他、同21日にはセヴァストポリ北方50kmほどにあるサキ飛行場がドローンにより攻撃を受け、多数の航空機が破壊された模様です。