(英エコノミスト誌 2023年9月23日号)
ウクライナの支援国は早期の勝利を祈りつつ、長期戦に備えた計画を立てなければならない。
ウクライナでの戦争は期待を繰り返し裏切ってきた。そして今、再び期待を裏切っている。
6月に始まった反転攻勢は、西側の近代的な兵器を携え、ドイツで訓練を受けたウクライナの兵士が領土を大幅に奪還し、その後のロシアとの交渉で指導者が有利な立場に立てるようにするという期待に基づいていた。
この計画はうまくいっていない。
勇敢な戦いぶりを見せ、ロボティネの近くでロシアの防衛戦を突破したにもかかわらず、ウクライナが解放できたのは、6月にロシアに占領されていた領土の0.25%にも満たない。
全長1000キロに及ぶ前線はほとんど動いていない。
今後数週間でウクライナ軍が現状を打破し、もろいロシア軍が崩壊する引き金を引く可能性はまだ残っている。
だが、過去3カ月間の実績を見る限り、そうした展開を当てにするのは誤りだろう。
苛酷な消耗戦
停戦や和平交渉を呼びかけても無意味だ。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は交渉を望むそぶりを全く見せていない。たとえ交渉したとしても、大統領が合意を守ることを信用することはできない。
プーチン氏は西側諸国の支援疲れを待っており、ドナルド・トランプ氏が米大統領に再選されることを期待している。
それに、国内での独裁体制を支えるために戦争を必要としている。
停戦が実現しても、ロシア軍がその間に体勢を立て直し、次の攻撃の準備を進めるだけだ。
ウクライナはひとたび戦闘をやめたら、国を失いかねない。