(英エコノミスト誌 2023年9月9日号)
本国の景気減速が遠い異国での巨大プロジェクトへの庶民の熱意を蝕んでいる。
習近平氏は何年もの間、「中国の経済発展という特急列車」に乗らないかと世界中に声をかけてきた。
このスローガンは習氏のお気に入りで、中国共産党を率いる同氏が外国の指導者と経済協力について話し合う際、とりわけ10年前の9月に立ち上げられたグローバルなインフラ整備プログラム「一帯一路」への参加を呼びかける時に使われる。
外国の批判派にとって、このような尊大なものの言い方は愚かな失策だ。
彼らいわく、確かに、貧しい国々のエリートたちは新しい空港やダムといったインフラ整備資金をお貸ししましょうと言ってくる中国の使者を歓迎するかもしれない。
だが、普通の市民はそうした巨大プロジェクトにますます背を向けるようになっている。
これに驚く人などいないはずだ。
一口に特急列車と言っても、その一等車に乗る人たちと、その線路の脇で苦しい生活を送らねばならない人々とでは見え方が全く違う、というわけだ。
そうしたことを念頭に置き、外国の一部の政治家やアナリストは、中国が一帯一路を1兆ドルもの資金を投じて国の評判を悪化させた大失策だったと判断し、本線から待避線に入れて棚上げするのではないかと考えている。
潤うはずだった地元経済の落胆
実際、中国は一帯一路の模様替えを進めている。だが、それはスクラップにするためではなく、存続させるためだ。
理由の一つは、諸外国の不満だ。
というのも、アフリカ、アジア、さらにはその他地域にある中国が最も頼りにする友好国のなかには、一帯一路の債務で苦境に陥ったところがあるからだ。
だが、西側諸国の批判的な論者たちは、模様替えが進むもう一つの重要な理由を見落としている恐れがある。