中国とは海を隔てているインドネシア、フィリピン
インドで開催されるG20の直前にインドネシアでASEANサミットが開催された。日本からは岸田首相、中国から習近平主席の代わりに李強首相、米国からはハリス副大統領が参加した。
習近平はG20も欠席したのでASEANサミットを欠席しても驚かれなかったが、インドネシアはバイデン大統領が参加しなかったことに不満を持った。だが米国にとって今一番大事なアジア外交は反中国連合を強化することであり、ASEAN諸国の全てと仲良くすることではない。
フィリピンは南シナ海の岩礁に乗り上げた船への物資供給を巡って中国と緊張状態にある。フィリピンは米国が中国に対抗する上で要のように見えるのだが、今回バイデン大統領はフィリピンには立ち寄らなかった。またインドネシアは2.7億人と東南アジア最大の人口を擁する大国である。しかし米国はそんなインドネシアを軽視した。それは米国がアジアの地政学をよく理解しているからだろう。
インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は中国にも媚を売っている。ジャカルタとバンドンの間の鉄道を建設する際に日本の新幹線ではなく中国の高速鉄道を導入したことは、日本でもよく知られている。初代のスカルノ大統領がそうであったように、インドネシアは大国間の争いに対して中立を保ちたいとの気分が強い。親日的ではあるが決して反中国ではない。
フィリピンの現在のマルコス大統領は南シナ海の問題で中国に対して強硬な姿勢をとっているが、ドゥテルテ前大統領は、中国から援助が得られるのなら島の問題は重視しないとの態度をとっていた。