ベトナム国旗をデザインしたTシャツを陳列するベトナム・ハノイの雑貨店(資料写真、2020年7月30日、写真:AP/アフロ)

(川島 博之:ベトナム・ビングループ、Martial Research & Management 主席経済顧問)

 将棋の藤井聡太名人の初めての海外対局がベトナムのダナンで行われた。彼が対局後にダナンやホイヤンを観光したことも報道されたが、それは期せずしてベトナム観光の宣伝に一役買うことになった。

 初めての海外対局の地としてベトナムが選ばれ、それが大きく取り上げられたことは、現在の日越関係を象徴している。日越関係は極めて良好である。

ベトナムの発展にODAで大きく貢献

 関係が良好である理由の一つに、日本が政府開発援助(ODA)として多額の資金をベトナムに供与してきたことがある。

 表1に国別のODA供与額(2015年から2019年までの有償と無償の合計金額)を示す。表中には世界銀行など国際機関による援助額も示したが、日本の援助額は世界銀行をも上回り同時期の援助額の4割にもなっている。ハノイのノイバイ空港や、空港からハノイ市に入る際に紅河を渡る橋なども日本の援助で造られた。

表1 ベトナムに対するの2015~2019年の援助額(外務省資料より筆者作成)