北朝鮮は、ウクライナ戦争に関して、一貫してロシアを支持してきた。その点をクレムリンは評価し、国際的孤立が目立つ中で、ロシアを支援する仲間がいることを世界に誇示する機会として、今回金正恩を招いたと考えられる。
それはBRICS首脳会議などの場で、グローバルサウスがロシアに一定の理解があることを強調するトーンと同じである。
北朝鮮が欲しいミサイル技術
一方、金正恩のほうは、武器支援の見返りとして、困窮する国内経済に対処するために食糧支援などを求めた可能性もある。しかし、金正恩にとっては、国民の生活よりも核ミサイル開発のほうが重要なのである。極論すれば、何十万人餓死しようが痛くもかゆくもない。核抑止力を保有して、アメリカからの攻撃を避け、金王朝独裁体制を維持することが最重要課題なのである。
それが、ロシアの最新軍事技術を求めている理由である。北朝鮮は、今年の5月と8月には、軍事偵察衛星の打ち上げに失敗した。次は失敗が許されない。ロシアの宇宙基地を訪問したことは、まさにその技術がそこにあるからである。
ボストーチヌイ基地は、カザフスタンのバイコヌール基地への依存を減らすために建設されたものである。8月には、この基地から月探索機「ルナ25号」が打ち上げられたが、月面に衝突して失敗している。
プーチンは、金正恩を大歓迎し、宇宙技術などの供与を約束したと見られている。ミサイル関連技術がロシアから北朝鮮に移転され、それが活用されると、軍事偵察衛星の開発が成功する可能性が増える。そうなると、日本や韓国、そしてアメリカにとって、北朝鮮の軍事的脅威が増大することになる。
弾道ミサイル技術を使った衛星の発射は国連安保理決議に違反するが、ロシアも北朝鮮も、その点は無視して開発を続けるであろう。