ところが9月13日、ロシア軍は、クリミア半島のセヴァストポリの造船所を、ウクライナがイギリスから供与された空中発射長距離巡航ミサイル「ストームシャドー」(射程250km)によって攻撃され、修理中の潜水艦と大型揚陸艦が損壊させられた。また、24人が負傷した。

9月13日水曜日にセヴァストポリのミハイル・ラズヴォジャエフ知事がテレグラムチャンネルで公開した写真。セヴァストポリ造船所から煙と炎が立ち上る中、ラズヴォジャエフ氏が携帯電話で話している(提供:Sevastopol Governor Mikhail Razvozhaev telegram channel/AP/アフロ)

 一方でウクライナ側は、オデーサ州で港湾施設を狙ったロシアによるイラン製無人機44機を使った攻撃を受けたが、うち32機を撃墜したと発表している。

 このように、連日、ウウライナ、ロシアの双方から、戦況についての発表があるが、いずれも「大本営発表」であり、実際はどのようになっているかは不明である。

 早期の停戦は困難であり、話し合いの糸口もつかめていない。少なくとも、戦争は来年春のロシア大統領選挙までは続くと見るのが常識的である。ウクライナにはNATOが大量の武器支援を実行しており、それが続く限り、反転攻勢を止めないだろう。一方、ロシアは旧式の兵器など駆り出して使っているが、弾薬の不足が目立っているという。

結ばれた可能性高い武器取引の「密約」

 そこで、ソ連式の兵器で統一されている北朝鮮に弾薬の提供を期待しているという。弾薬や武器の不足の一部を補うために、北朝鮮を利用するという考えがロシア側にあっても不思議ではない。

 問題は、国連安保理の制裁決議で北朝鮮との武器取引が禁じられていることであり、それだけに公にしない密約を結ぶ可能性はある。

 ロシアは今イラン製のドローンを重宝しており、反米イランを味方につけることにより、兵器不足への対応を行っている。イランとの間では、他国に干渉されないカスピ海ルートがあり、その戦略的価値が高まっている。