毎年6000億円を超える収入が自動的に
放送法が制定された1950年頃は、テレビと言えばNHKくらいしかなく、テレビを設置したらNHKを見るという関係性があったことは否定できないと思います。
しかし、今やNHKと民放の二元体制だけでなく、Netflixなどの配信サービスも次々に加わって映像コンテンツ業界は多様化しています。受信料制度への違和感や嫌悪感は放送法の趣旨が現代社会に合わなくなっていることに起因すると言えるでしょう。
皮肉をこめて言えば、受信料制度は実によくできています。2023年度の受信料収入は10月からの値下げもあって6240億円になる見込みです。2018年度の7122億円から減少傾向にあるとはいえ、日本の経済動向に左右されず、テレビを保有する世帯から強制的に受信料を徴収し、毎年6000億円を超える収入がNHKに自動的にもたらされるのです。
NHKはホームページの「よくある質問集」の中で、受信料制度について次のように説明しています。
公共放送NHKは“いつでも、どこでも、誰にでも確かな情報や豊かな文化を分け隔てなく伝える”ことを基本的な役割として担っています。そして、その運営財源が受信料です。
つまり、公共放送を維持するために受信料が必要であるというのです。そして、公共放送とは営利を目的とせず、国家の統制からも自立して、公共の福祉のために行う放送だと説明しています。
公共放送の維持には、約1万人の職員の給料やボーナスの支払いも含まれます。ちなみに、大卒35歳のモデル年収は660万円(2022年度)であるとNHKは明らかにしていますが、モデル年収とは何なのかが不明瞭で、時間外手当などの諸手当が含まれているかどうかは不明です。