4月から「割増金」という実質的な罰金制度

 NHKと国民の間には受信料問題が横たわっています。この問題は今に始まったわけではありませんが、映像コンテンツのサブスクリプションサービスが若い世代だけではなく、中高年世代にも浸透してきたことで反発の度合いが強まっています。

 これまで多くの人々は、民放は無料という感覚であり、NHKには受信料を惰性で支払ってきたのではないでしょうか。ところが、サブスクサービスの広がりで、NHKを見る、見ないにかかわらず料金を支払う仕組みの「おかしさ」が浮き彫りになりました。そのため、「NHKもサブスクにするべきだ」という意見が、NHKに関連したニュースが流れるたびにSNS上で飛び交っています。

 そもそも何を根拠にして、NHKを見ていなくても受信料を支払わなければならないのでしょうか?

「放送法」と、それに基づく「日本放送協会放送受信規約」によって「NHKを受信できるテレビが設置されていれば受信料を支払う義務がある」というのが法的根拠です。

 そこで引っかかるのは「テレビが設置されているだけで支払う義務がある」ことです。「視聴の対価になっていないのは納得いかない」、あるいは「見ていないのに支払うのはおかしい」と感じる人は多いでしょう。

「おかしい!」と声高に叫んでも、支払い義務から逃れられません。しかも、NHKは4月から「割増金」という実質的な罰金制度を導入しました。不当な手段で支払いをしなかったり、適当な理由なく期限までに受信契約をしなかったりすると、受信料の2倍の割増金を支払わなければならないということです。

 テレビを設置した人は、NHKを受信する意思があると認められるので、受信料の支払い義務が発生するというのが放送法の理屈です。この理屈に対して、拡大解釈、論理の飛躍だと反論したくなりますが、放送法が今から70年以上も前に制定されたことを知ると、その当時の理屈は理解できます。