文=松原孝臣 

2023年3月22日、世界選手権で優勝したペアの三浦璃来・木原龍一 写真=松尾/アフロスポーツ

アイスダンスやペアの支援を先駆けて行う

 昨シーズン、フィギュアスケートの世界選手権でペアに日本初の金メダルをもたらしたのをはじめ、出場した大会すべてで優勝。三浦璃来/木原龍一は、日本の、世界のペアの歴史を塗り替える活躍を見せた。国際スケート連盟の主要3大会「グランプリファイナル」「四大陸選手権」「世界選手権」を1シーズンで制覇する「年間グランドスラム」を日本で初めて達成したことも、色を添える。

 2人の活躍とともに、所属先「木下グループ」にも関心が寄せられるようになった。フィギュアスケート界ではなじみの深い企業でもある同社は、三浦と木原のみならず、とりわけ、アイスダンスやペアの支援を先駆けて行ってきたことでも知られる。

 当初、それは異例のこととも受け止められた。なぜなら、日本では大会で華々しい成績を残すことで関心を高めてきた男女シングルに対し、カップル競技——アイスダンスやペアに対しては低い状況が続いてきたからだ。大会で好成績をあげられず注目も集まらない。結果、スポンサーもなかなかつくことはなく、競技活動に必要な資金などの支援も得にくい。そんな悪循環があった。

 その中にあって、木下グループは2009年12月、アイスダンスのキャシー・リード/クリス・リードと所属契約を結ぶと、2010年4月にはペアで活躍していた高橋成美/マーヴィン・トランとも契約。その後もシングルの選手をときに支援しつつ、ペアの高橋成美/木原龍一、村元哉中/クリス・リードなどを支援。今日まで継続している。

2014年ソチオリンピックで演技をするキャシー・リード、クリス・リード。写真=アフロ

 なぜ、カップル競技の支援に力を注いできたのか。そもそも、フィギュアスケ―トとのかかわりはどのように始まったのか。

 工務店をはじめ介護や保育、エンターテインメントなどで事業を展開する総合生活企業である木下グループのフィギュアスケートとのかかわりは、2006年、ジャパンオープンのスポンサーになったことにある。同社の広報いわく、日本スケート連盟とともに主催することになったテレビ東京から話があり、スポンサーになったのだという。いずれにせよ、フィギュアスケートとそこで接点が生まれた。

 それから3年、先に記したように、キャシー/クリス姉弟と所属契約を結ぶ。