落第通信簿の続きを見てみましょう。
通信簿③:今後、構想の具体的内容を学内の多くの構成員が共有し、全学として推進することが確認できれば、認定候補となりうると考える。
例えば今回のこの案、私は25年来東京大学で上記のようなエッジのたった芸術=科学の研究室を率いていますが、まさにそれが理由となってでしょう、一切事前に話も聞かされず、相談されたこともありません。
「各学部から選ばれたタスクフォース」的なものが寄り集まって、調整をすればするほど、国内では円滑、国際的には基幹競争力=コアコンピタンスの源泉となる、先鋭な個性は消えていく。
これがいけないという指摘も古くからあって、2010年代は「選択と集中だ」ということになりましたが、その結果がどのようであるか。
日本の創造的活力がここ10年、20年、弱体化の一途という話は、データを含めて広く流通する結果が示す通りでしょう。
「こんなことでは、ダメですよ、目をお覚ましなさい!」と学内有識者も含めた採点官からノーを突き付けられた。
だから「今回の東大落第は『大正解』」と、根拠と合わせてここに建設的に提言を記しているわけです。
大学は、よくこの事実を直視し、あるべき我が国の未来に向けて、意義あるかじ取りを進めてほしいと思います。もちろん私もできる協力を惜しむつもりはありません。
現状のような「調整」では、護送船団丸ごと沈没に漸近のリスクを、避けられるか、私には定かではないように思われます。