日本は教育改革で欧米の一流大学に追いつけるか(写真は米イェール大学)

 去る7月30日、文部科学省は2022年からの新課程に対応する2025年以降の大学入試のポイント発表、これに則して各大学は個別入試の詳細を変更しています。

 例えば、東京大学に関しては「学校推薦型選抜」の出願資格に、従来は存在しなかった「既卒1年まで」を加えました。

 卒業後2年、3年と経過したOBOGは一般枠で受けてね、という方針変更。

 京都大学は法学部の「特色入試」で「後期日程」を廃止して「学校推薦型選抜」にシフトするようです。

 一大学教官として正直なことを言いますと、私はこの「推薦入学制度」にかなり疑問を持っています。

 国立大学法人が税金で運営されている公共性といったことも、まあないわけではありません。しかし、それ以上に思うのは、学生の学力低下の度合いが著しいことから懸念を持たざるを得ないのです。

「受験勉強に偏らず、ユニークな人材を」という旗印はまことに結構なのですが、それが果たして本人を、あるいは日本全体の国力を伸ばすことになるのか?

 私事で恐縮ですが、私は首都圏のいわゆる古くから大人数が東京大学に進学する中学高校で学び、学内での成績もそれほど悪くはなく、この種の推薦があればいかにも推されそうな特色をいろいろ持った高校生でした。

 ところが、受験に失敗し浪人の生活を送りました。

 ただ、浪人中もおとなしくお勉強はせず、たまたま給費をもらっていたので西ドイツに交換留学、東側の惨状を見て親父と同じ経済学志望から「経済なんかやってても怪しそうだ」と物理に転じる、人生の一大ジャンプが「浪人」と「受験勉強」で実現した。

 物理をやっていなかったら、ここ40年の私の仕事は、何一つありません。落第サマサマであります。

 受験は、何もストレートで合格するばかりが取り柄ではない。そう思います。