9日にはオースティン米国防長官とギルバート・テオドロ比国防相が電話会談して今後の協力関係強化について協議した。
安全保障面で米との関係を重視するマルコス政権は、先に南シナ海での米比合同海上パトロールの再開で合意しているが、フィリピン側によると2023年中にも再開する方向といい、今後南シナ海における米国のプレゼンスを高めることで中国を牽制することへの期待がフィリピン国内では高まっている。
フィリピンの反中感情、一段とヒートアップ
南シナ海で中国との領有権問題を抱えているのはフィリピンだけではない。マレーシア、ベトナム、ブルネイなどもそうだ。
中国が領有権の根拠とする「九段線」については、2014年にフィリピン政府が、その違法性をオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所(PCA)に訴えている。PCAは20216年、「九段線とその囲まれた海域に対する中国が主張してきた歴史的権利は国際法上の法的根拠がなく、国際法に違反する」との判断を下した。
だが中国は今日まで一貫してこの判断を無視し、受け入れを拒否。逆にますます南シナ海各地で自国のプレゼンスを高めるような行動に出ている。
こうした中国の南シナ海に関する強硬で一方的な姿勢にフィリピン国内では再び中国へ抗議活動が活発化しており、8日にはズビリ下院議長が中国への抗議の意思を示すためにとして「中国製品のボイコット」を提案した。今後フィリピンが予定している「シエラ・マドレ」への補給活動が再び中国によって妨害されるのであれば、フィリピン人の反中感情はこれまでにないレベルに達する恐れもある。