2023年7月3日、台湾・屏東で行われた実弾射撃訓練(写真:ロイター/アフロ)

地上兵力「総勢約205万人」を擁する中国

 中国の台湾に対する全面軍事侵略構想、いわゆる「台湾武力統一」に対し、台湾や日米が警戒レベルを上げている。

 台湾の“後ろ盾”となっているアメリカは、今年6月下旬に約4億4000万ドル(約630億円)の武器売却を決定し、2021年発足のバイデン政権による対台湾武器売却はこれで10回目となり、総額5000億円を軽く上回った。

 また、今年7月下旬には約480億円相当の備蓄武器の供与も決意。米軍の在庫からスティンガー携行型対空ミサイルなど緊急性の高い装備を素早く手渡すのが狙いで、「売却」ではなく在庫の「供与」は初めてだ。

 こうした動きに刺激されてか、各メディア・評論家も中国による独自の侵攻シナリオを予想する。

「40年近く実戦経験もない大陸軍国が、大挙艦船に乗り“島国”台湾に上陸しようとする冒険は、21世紀の元寇(鎌倉時代に元が挑み大敗した2度の北九州侵攻作戦。蒙古襲来)に陥る可能性が高い」

「陸軍兵力、戦車、潜水艦の数で10倍、戦闘機・攻撃機で5倍、大型水上戦闘艦で3倍の大差をつけ空母まで揃える中国の圧倒的な軍事力に台湾はなすすべもない」

 では、実際に中台両軍の兵力はどのくらいの規模なのか。イギリスのシンクタンク、国際戦略研究所が毎年まとめる『ミリタリー・バランス(2023年版)』などによれば、両軍の軍事力は【表】の通り(数字は概数)。


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 まずは兵隊の数だが、中国の正規軍、つまり人民解放軍の現役総兵力は203.5万名で世界最大規模を誇る。このうち台湾侵攻作戦の主力となる地上兵力(歩兵など)は、陸軍を主軸に海軍陸戦隊(海兵隊)、空軍空挺部隊の正規軍部隊合計104万名のほか、有事には陸軍を補強する人民武装警察50万名と予備役51万名が存在する。

 民兵800万名は人数的に目につくが、短期間で動員し戦場で役立つのはごく一部で、本格的な戦闘訓練を施されているかも怪しい兵員が大半と見られる。

 台湾の正規軍総兵力は16.9万名で、このうち地上兵力は陸軍9.4万名に海軍陸戦隊1万名を加えた10万名あまりに過ぎず、実は日本の陸上自衛隊(約14万名)より少ない。

 だが有事には軍務経験があり定期的に戦闘訓練を行う予備役165.7万名が控え、短期間に合計180万名規模の兵力が侵略軍を迎え撃つ計算となる。中国の正規分の地上兵力に人民武装警察と予備役を合わせた兵力約205万名と大差ないとは意外だ。

「攻撃側は防御側の最低3倍の兵力が必要」というのが軍事の常識で、これに従えば中国は540万名が必要で、民兵のほぼ半分を動員しなければとても足りない。