PCGは中国側の放水を「危険な行為である」と非難するとともに「CHINA COAST GURD 中国海警」と船腹に書かれた船が比巡視船に放水する映像や動画を公開、フィリピンのマスコミ各社が一斉に報道した。
また中国側が上空から撮影したとされる、チャーターした補給船へ放水している動画も公開されている。
PCGによると、実は放水があった前日の4日にもアユンギン礁周辺海域では「シエラ・マドレ」に補給に向かうフィリピン船舶に対して、海警局船舶4隻と民兵が乗り込んだ民兵船32隻が同海域に集結して、進路妨害など繰り広げていたという。
「座礁船撤去は約束事項」とする中国、「そんな約束、覚えがない」というフィリピン
こうした中国側の危険な行動に対し、フィリピン外務省は在マニラ中国大使を召還して強く抗議。「アユンギン礁はフィリピンの排他的経済水域(EEZ)内にあり、フィリピンの主権と国際法に基づいて駐留している」として中国の違法性を訴えた。
一方、南シナ海の大半を自国の海洋権益が及ぶ「九段線」の内側にあると主張している中国側は、海警局船舶の行動を「フィリピン側が不法に侵入したので法に基づいただけ」と一歩も退かない構えで、逆にフィリピン政府に対して、アユンギン礁でフィリピンが拠点としている座礁船の撤去と原状復帰を求めている。
座礁船の撤去・原状回復を求める根拠として中国は、「フィリピンが撤去を約束した」と主張している。
これに対し、昨年6月にフィリピンの第17代大統領に就任したフェルディナンド・マルコス・ジュニア氏をはじめフィリピン側は「そんな約束などしていない」「約束があるというならそれを書面で示してほしい」などと中国側の一方的な言い分に対しさらに強く反発している。