ザンビアの誤算は中盤でボールをキープすることが出来なかったことであろう。ことごとく日本の中盤やボランチにボールを奪われてしまい、攻撃の形が取れなかった。日本チームがピッチを広く使ったのも効果的であり、チェックが出来なくなったのである。

 それでも前半は得点を奪えない日本チームに不安な面もあった。前半21分のセットプレーではボールを蹴る前に田中美南が体半分前に出て得点を決めるものの、オフサイドの判定に泣かされてしまう。ベテランである田中があのような単純なミスをするのは非常に残念であり、やってはならないプレーであった。

嫌なムードを断ち切った宮澤のシュート

 焦る気持ちが空回りを招いていた。この時間帯、なでしこジャパン嫌なムードに包まれていた。ドイツがザンビアに負けた試合でも、ドイツの選手が焦って簡単なシュートを外すシーンがあった。その試合に雰囲気が似ていた。見ていて嫌な予感もした。

 これを断ち切ったのが前半43分のプレーだった。右サイドから早いグラウンダーのクロスを蹴った藤野あおばのボールに対し、ザンビアのDF2人に囲まれながらゴール前に走り込んだ宮澤ひなたがダイレクトで叩くと、ボールはゴールに吸い込まれ、初得点をもぎ取った。

ザンビア戦でチーム初得点をたたき出した宮澤ひなた(写真:AP/アフロ)

「あの藤野の早いセンタリングをダイレクトで叩くのは簡単ではない。ゴールの上に蹴ってしまう可能性もあったのに、よく抑えたダイレクトシュートを決めたと感心しました」(サッカー専門誌デスク)