「デトロイト」という都市名を聞いて、何を思われるだろうか。
米中西部ミシガン州最大の都市で、メジャーリーグ、デトロイト・タイガースの本拠地であり、「モーターシティ」と呼ばれる自動車産業のメッカでもある。
米自動車メーカーが同地で興隆を極めたのは数十年も前のことで、実は人口が185万のピークに達したのは1950年代であり、2020年には64万にまで減少している。
日本車に押されて自動車産業の雇用が奪われ、「デトロイトは不可逆的な都市崩壊の状態にある」という形容さえ使われるようになった。
さらに犯罪率も高く、2022年の「世界人口調査(ワールド・ポピュレーション・レビュー)」によると、デトロイトは全米で2番目に危険な都市にランクされている。
何しろ中・大都市で唯一、人口10万人あたりの暴行罪の発生件数が2000件を超えているのだ。
筆者は何度もデトロイトを訪れたことがあるが、市内の一部は荒廃したビルや民家が連なり、見るも無残な風景が広がっている。
2013年7月には連邦破産法9条を申請し、財政破綻してさえいる。
すでに見放された都市というイメージがあり、救済できないのではないかと思えるほどだ。
しかし、この都市を何とかしなくてはと立ち上がった人物がいる。ジョー・バイデン大統領である。