日本威嚇が目的ではない

 第一に、北朝鮮のミサイル発射は、日本を目的としたものではなく、主にアメリカと韓国に対する警告を目的としているということだ。

 このところの北朝鮮は、アメリカのジョー・バイデン政権及び韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権に対する非難を、声高に主張していた。例えば5月29日には、李炳哲(リ・ビョンチョル)朝鮮労働党中央軍事委員会副委員長が、「反共和国(北朝鮮)的なアメリカと南朝鮮(韓国)に向けた自衛力強化の立場」を発表している。かなりの長文だが、その要旨は以下の通りだ。

<現在、(南北)軍事境界線に隣接した南朝鮮京畿道抱川(ポチョン)一帯で、米軍と南朝鮮軍が、6年ぶりかつ史上最大規模の「連合合同火力撃滅訓練」なるものをおっぱじめている。その名の通り、交戦状態に対する「撃滅」を目的として、6月中旬まで連続的に進行するという今回の演習には、南朝鮮駐屯米軍とその傀儡軍の各種攻撃用武装装備が動員される。(中略)

 この4月末には、アメリカと南朝鮮が、わが国に対する核兵器使用計画を書面化した「ワシントン宣言」というものを発表した。それによって、まさに40数年ぶりに、アメリカ海軍の戦略核潜水艦が南朝鮮地域に展開されることになった。

 さらに放置できないのは、最近アメリカがアジア太平洋作戦戦区に配備した各種の空中偵察手段を集中動員させ、朝鮮半島と周辺の地域に対する敵対的な空中偵察活動を類例のないレベルで行っているのだ。(中略)