この6月に必ず発射するわが軍事偵察衛星1号機と、新たに実験する予定の多様な偵察手段は、日を追うごとに無謀な侵略の野望欲心を露骨に表しているアメリカと、その追従国の武力の危険な軍事行動を、刻々と追跡、監視、判別する事前抑制や、対比させる共和国の武力の軍事的準備態勢を強化するのに、必須不可欠のものなのだ。(以下略)>

 このように北朝鮮は、米韓の合同訓練や、アメリカが韓国近海に展開するとした戦略核潜水艦を恐れているのだ。

国内向けのアピール

 今回発射したもう一つの意図は、北朝鮮の国内向けである。5月28日に、以下のような発表を朝鮮労働党中央委員会政治局が行ったと、翌日に朝鮮中央通信が伝えた。

<朝鮮労働党中央委員会第8期第8回全員会議の招集に対して、朝鮮労働党中央委員会政治局は、2023年度上半年期間の党と国家行政機関の事業状況と、人民経済計画遂行実態を総括し、わが革命発展に重要な意義を持つ政策的問題を討議するため、6月上旬に党中央委員会第8期第8回全員会議を招集することを決定した>

 この全員会議はおそらく、金正恩(キム・ジョンウン)総書記が、一向に埒(らち)が明かない工業や農業の状況に対して、幹部たちの尻を叩くのが目的だろう。そんな中で、「今年上半期の目に見える輝かしい成果」が必要だったのである。それで「軍事偵察衛星」なるものを打ち上げたというわけだ。

 このように重ねて言うが、今回のミサイル発射は、決して「日本憎し」で日本を標的にして行ったものではない。それどころか日本に対しては、5月29日に、次のような朴祥吉(パク・サンギル)外務次官の談話を、朝鮮中央通信が発表しているのだ。