北朝鮮も日本に秋波

<(5月)27日、日本の岸田首相がある集会で、朝日首脳間の関係を築いていくことが大変重要であると発言し、朝日首脳会談の早期実現のために高位級協議を行おうとする意思を明らかにしたという。

 われわれは、岸田首相が執権後、機会あるたびに「前提条件のない日朝首脳会談」を望むという立場を表明してきたことについて承知しているが、これを通じて実際に何を得ようとするのかは見当がつかない。

 21世紀に入って、(2002年と2004年の)2度にわたる朝日首脳の対面と会談が行われたが、なぜ両国の関係が悪化一路だけをたどっているのかを冷徹に振り返ってみる必要がある。現在、日本は「前提条件のない首脳会談」について言っているが、実際においてはすでに解決済みの拉致問題とわが国家の自衛権について何らかの問題解決をうんぬんし、朝日関係改善の前提条件として持ち出している。(中略)

 過ぎ去った過去にあくまで執着していては、未来に向かって前進することができない。もし、日本が過去に縛られず、変化した国際的な流れや時代に合わせて、相手をありのままに認める大局的姿勢で、新しい決断を下し、関係改善の活路を模索しようとするなら、朝日両国が互いに会えない理由がないというのが、共和国政府の立場である。(以下略)>

 このように、日本の岸田政権に対しては、むしろ秋波を送っているのである。

 5月31日の発射に関しては、朝鮮中央通信が、「午前6時27分に発射したロケットは、異常が発生して、朝鮮半島西側の黄海に墜落した」と発表。発射が失敗に終わったことを認めた。

 これは金正恩政権にとっては、大きな痛手である。今年上半期を象徴する「成果」が、雲散霧消してしまったからだ。

 アメリカと韓国に対して「強気の手」がうまくいかないとすれば、今後ますます日本に対して、秋波を送ってくる可能性がある。その意味では、拉致問題を含めて「北朝鮮との対話」を求める岸田政権にとっては、機会到来とも言える。